2024年度理事長所信

第70代理事長 竹山 佳奈

はじめに

   「今より成長したい」そんな希望をもって、私はJC活動をはじめました。人生に過ちはつきもので、常に正しいことなどありません。しかし、私は如何なるどん底にあっても、どのような高みにあっても、よりよくなりたいと願っています。人との関わりや地域社会の中で、人の「心」の在り方を磨き続けなければなりません。世の中が抱える問題や変化を的確に捉え、よりよい未来の創造に求められる役割と責任を果たす必要があります。堺市・高石市を想う人々と共に力を高め合おう。次代に向かって臆することなく変化し、常に新しい風を起こし未来へと進化を続けよう。

 

 

Kiss the world

~すべては未来を生きる人のために 先駆けよう JAYCEE~

 

 「Kiss the world」直訳すれば「世界にキスをする」となります。しかし、この言葉にはもっと隠喩的な意味が込められています。つまり、世界にキスをするように、世の中のあらゆることを積極的に受け入れ、楽しみ、自分の可能性を最大限に引き出すために努力することを表現する言葉として世界で使われています。この言葉の意味するとおり、私たちは困難や挑戦に立ち向かい、自分自身や他者との関わりを大切にし、ポジティブな力や愛情を広めていかなければなりません。そのために、私はこれから記する様々な運動を展開して参ります。

 

 

共に活動する仲間に理念共感を

   1949年、戦後の荒廃から立ち直っていない中、「新日本の再建は我々青年の仕事である」という志のもとに立ち上がった日本の青年会議所運動は、約70年前にわがまちでも芽吹き、堺高石の地で多くの先輩諸氏により、自分たちの住み暮らす地域を少しでもよくしようと、その時々に散見する諸問題を解決することで引き継がれてきました。この青年会議所運動は、40歳で卒業するという仕組みのもとで、毎年運動に賛同する新たな仲間を迎え入れ、メンバーの循環が行われてきましたが、メンバーの中には活動に参加することもなく、退会する者も少なからずいることが現状としてあります。青年会議所における様々な活動や研修を通じて、多くの人と出会い、自己を研鑽し、地域社会の未来を描く人財へと成長する機会が多くあります。私たちと志を同じくする青年経済人に運動へ参加してもらい、他者を想い、人に影響を与える人財を育成し、地域に社会的な変革や影響力のある会員拡大を実現します。

 

 

Kiss the worldを広めよう

  2020年から始まった新型コロナウイルス感染症の流行は、リモートワークやオンラインによる交流など人々の中に新たなライフスタイルを生み出しました。しかし、不要不急な外出自粛、飲食店の時短営業、渡航制限など国内外における人々のリアルな交流を制限してしまった一面もあります。特に若年層においては遠足、修学旅行など様々な諸行事の中止という一生に一度の機会を奪うものでありました。昨年に感染症法の5類感染症に移行され、様々な制限が解除されるにつれ、人々には改めてリアルな交流の必要性が見直されつつありますが、失われた機会は戻ってくるものではありません。私たち堺高石JCでは、それぞれの時代における地域の諸問題に対して、堺シティマラソンや堺大魚夜市をはじめ、堺市・高石市において市民も交えた地域社会の未来を見据えた様々な事業を行い、地域社会の活性化を図って参りました。コロナ禍が明けつつあり、来年には堺高石JCの70周年となる年に、2025年大阪・関西万博が開催されます。今こそ、私たちがメンバーの機運を醸成し、市民にインパクトを与えられる運動を起こす必要があります。リアルな交流の機会が見直されている今、私たちは世界と地域の人々が積極的で前向きな交流を深めるとともに、困難に立ち向かい挑戦することで、自分自身や他者との関わりを大切にし、ポジティブなエネルギーや愛情を広める機会を展開します。

 

 

世界を積極的に受け入れる

  戦後復興の象徴であった1964年東京オリンピックから6年後、高度経済成長期の真っただ中である1970年にアジア初開催となる日本万国博覧会が大阪で開催されました。「人類の進歩と調和」をテーマとし、万博の歴史上最も多い独立新興国が参加し、今では当たり前となっている様々な技術が示され、人々、特に子供たちに多くの夢と希望を与えたイベントであったと伝え聞いています。それから半世紀が経ち、来年には再び大阪の地で2025年大阪・関西万博が開催されます。「いのち輝く未来社会のデザイン」をテーマとして開催される今回の万博は、インターネットの普及により世界が小さくなり、ただ展示をみるだけのイベントから世界中の人々が英知を出し合い、未来社会を共創し、人類共通の課題を解決するアイデアが発信されることが期待されています。これは私たちが世界中で行っている青年会議所運動と共通する部分が多くあります。私たちはJCメンバーのみならず、多くの市民に万博への関心と参画意識を高めてもらうことにより、世界を積極的に受け入れ、楽しむことや愛情を広めることで、一人ひとりが明るい未来社会を創造するという意識を醸成します。

 

子供たちの自己肯定感を高める機会を

 内閣府が行う先進国の若者への調査によると、日本の若者は諸外国と比べて、自己を肯定的に捉えている者の割合が低く、自分に誇りをもっている者の割合も低いとの結果がでています。自分自身に満足している者の割合は5割弱、自分には長所があると思っている者の割合は7割弱で、いずれも諸外国と比べて日本が最も低いとされています。自己肯定感が低い若者は、自分の可能性を信じにくく、限られた選択肢しか見えないと感じ、将来に対する希望や夢を持てなくなる傾向があります。時代の社会を担う子供たちは、社会の礎であります。一人ひとりがかけがえのない存在として、自信をもって自分の夢を描き、それを実現し、健やかな成長をする運動を行います。 

 

 

青年会議所のブランディング

 社会活動を行う団体もNPOをはじめ多種多様な組織が存在し、また、自己を研鑽する場としてもSNSなど人々が簡単につながる環境にある昨今においては社会人サークルやオンラインサロンなど様々なものがあります。JCに対しても「JCしかない」時代から、「JCもある」時代と言われるようになって久しいのが現状です。しかし、今も昔も社会を変え、人々を牽引することができる組織は「JCしかない」と考えます。青年会議所は自らがまちの課題を抽出するとともに、解決に向けた政策を立案し、自らが実行していく唯一無二の団体です。しかし、この運動もまちの人々に広く浸透しにくいということが現状であります。SNSが多様化する時代において、たった一つの投稿が大きな共感を集めることが可能です。青年らしい柔軟な発想、手法を用いて多くの市民にJCを知ってもらうこと、そして、その市民が私たちの運動に共感し行動に移すことが、まさにJCの価値を高める運動そのものであります。

 

 

運動を最大限に発揮できる組織運営を

 青年会議所の運動は、会員による意思決定によって行われており、その主たるものは「会議」と話し合いの基となる「議案」によって構築されています。しかし、時として青年会議所の仕組みと長年の慣習に捉われ過ぎてしまい、効率的かつ効果的な事業実施を阻害し、外部からの信用を失墜してしまう虞があります。理念がぶれることないよう配慮しながら、組織体系を時代に即したものへとアップデートし続ける必要があります。さらには、メンバーへの適切な権限移譲を行うことにより、前向きな運動構築ができる会議の運営と効率的かつ機動的な組織運営を実現し、私たちが目指す運動の効果を最大化します。

 

 

結びに

 今を生きる私たちJAYCEEは、自身の能力を公に発揮し、私たちに共感する市民とともに、互いに支え高めあう共想社会と持続可能な経済社会の実現のため、先人たちが残してくれたJCという大いなる遺産に秘められた力を最大限に発揮していこう。一度しかない人生。リスクヘッジなJCはやめて、もし、あなたが決めたなら、それにすべてを賭けよう、失敗してもいい。それどころか、どうせ失敗するなら派手に失敗しよう、すべてが成果であり、だからJCは面白い。今しかできない誰もが夢を描ける社会を実現しよう。

 

先駆けよう、JAYCEE。

すべては未来を生きる人のために。

堺高石の未来へ向けて。