理事長所信

はじめに

2011年当時、社会人として半人前であった私は、ただ漠然と人とのつながりをもちたいという一心で堺高石青年会議所に入会しました。それから数年は仲間同士で切磋琢磨し諸先輩方の背中を追い続け、地域を想いながら行動することで、人とのつながりの大切さを知り、自己成長することができました。JCをやるんやったら自分のためにやるんやで。と先輩からいただいた言葉が今でも私の心に響いています。家庭や仕事をもち、限りある時間のなかでJC運動を行うということは決して簡単なことではありませんが、本気でやりきった先には必ず一人の人間として成長することが約束された集まりであると確信しております。

 

ENJOY JC

変化を楽しみ成長につなげろ

 

時代が変わる時、その変化を楽しむ者と拒む者に分かれる。JCは市民の意識変革を進めていく組織である。私たちは、前者でなければならない。今こそ変化を楽しむ者として、自らが能動的に楽しんで変化すべきだと強く訴えていきたい。

 

活気溢れる国際都市の創造

近年、国際化の到来により、多くのヒト、モノ、文化が国境を越えて行き来しています。またインターネットの発展により世界中で情報が駆け巡り、日本と海外の国、地域とはあらゆる面でつながり互いに有益な関係を築いています。その中で私たちの活動拠点とする堺市・高石市においても民間、行政における国際交流、外国人観光客の誘致、在住外国人との共生など、海外との交流は徐々に増えてきておりますが、急速な国際化に地域の体制が整わず変化に追いついていない状態にあります。私たちはこの国際化の潮流を後ろ向きに捉えず、チャンスと捉えて行動をおこしていきます。現状の課題を直視して諸団体と連携を図り、調査、研究を重ねて国際化が齎す地域活性化を後押しする運動を発信していくことで、多種多様な価値観が協和し活気溢れる堺市・高石市を実現していきます。

 

JCI ASPAC国内誘致権獲得に向けて

堺高石青年会議所では創立60周年で定めた長期運動指針に基づいて、JCI ASPAC堺高石開催に照準を絞り、アジア諸国をはじめ世界各国と、文化、経済等様々な分野で国際交流を進めて、ヒト、モノが集う多彩で多様な魅力あふれる国際都市をめざしています。昨年度は、市民の国際意識の変革という明確なビジョンも掲げて、近畿地区協議会にてASPAC開催へのご推薦をいただきました。本年度は、メンバー一人ひとりへのさらなるビジョンの共有に努めて,LOM全体にまちの国際化にむけた運動への機運を高めていきます。そして、JCI ASPAC開催の具体的な計画を立案して日本JCにおける国内誘致権の獲得にむけてメンバー一丸となって進んでまいります。

 

SDGs(エスディージーズ)持続可能な開発目標の推進

SDGsは、2015年に国連が採択した先進国を含む国際社会全体の2030年に向けた環境、経済、社会についてのゴールです。また、国のみならず地域社会、企業など地球上すべての人を対象とした共通の目標でもあります。日本でも行政の取り組みは始まっておりますが、地域社会、企業の認知度はまだまだ薄く、SDGsへの取り組みがなされていないのが現状です。私たち青年会議所は明るい豊かな社会の創造を掲げる組織として、国際的な課題解決が示されたSDGsを地域社会、企業に推進していく必要があります。また、推進にあたり地域社会、企業にSDGsがどのように関わっているのかを認識して、何が足りないのか考えてもらい、国際的な課題解決にむけての潜在能力に気づいてもらうことが大切です。SDGsが地域社会、企業で活動する人々の指標になることができれば、日本のみならずやがては世界の共通の目標として大きな意味をもつことになり、2030年のゴールに向けてさらなる後押しとなります。私たちは、SDGsを内外問わず推進することで地域社会の改善のため、様々な運動に連動させ、持続的に発展し続けるまちを創造していきます。

 

地域資源のブランド化

国際観光なくしてまちの発展はないと言われている昨今では、関西への玄関口である関西国際空港において、外国人観光客のさらなる増加に向けてのLCC就航開始以降、関西圏に訪れる外国人は過去最高人数を記録するほどに急増しており、地域の国際観光を取り巻く状況は劇的に変化してきています。私たちの活動地域である堺市・高石市においては、平成29年に百舌鳥・古市古墳群が世界文化遺産の国内推薦を獲得後、周辺の施設を訪れる外国人観光客は、以前よりも多くなりました。一方で、まちの発展につながるインバウンド需要については、近畿圏内の主要な観光都市と比較をしてみれば、依然としてその恩恵に与ることが出来ていない現状です。今こそ、百舌鳥・古市古墳群の国内推薦を好機と捉えて、地域資源を活用した国際文化観光都市として持続的に成長し続けていくことができるように、地域資源の調査研究をし、青年会議所が地域資源のブランド化へのプラットフォームになり、行政や市民の架け橋となって、地域ブランド化を成功させる原動力になる必要があります。

 

未来を担う青少年の育成

2045年には、新技術の開発や人工知能の開発の担い手が人間だったものが、人工知能が開発したほうがより効率よく、より優れたものを開発できるシンギュラリティ(技術的特異点)という歴史的な変化を迎えると言われています。しかし、そのような技術の急激な進化に社会の変化は追いついておらず、これから予測される変化に備えて準備を進めておく必要があります。私たちは、親世代として未来の日本を担っていく才能を秘めた青少年たちに、人工知能が発達することによって、世の中が急激に変化することを理解してもらうことで、人工知能との共存と共栄には何が必要なのかを自ら前向きに考える力を養っていかなければならないと考えます。また、これから予測される社会の変化に対応できるように、2045年以降に求められる倫理観や道徳心を理解し、危機管理ができるような知識を青少年たちに備えさせていく必要があります。さらに、人工知能では決してまねのできない人間ならではの豊かな創造力を育んでいくことも重要です。そのような青少年が一人でも多く育っていくことが、いずれ来る未来の社会には必要なことだと考えます。

 

民間外交による相互理解の推進

昨今の国家間情勢において、互いの国益を優先するあまりに外交が停滞しつつあり、山積みである国際問題は、解決の目処がついていません。文化や経済のグローバル化がより一層進んでいくことが予想されるなか、問題解決に向けての取り組みは、国家間の外交だけに頼らず、民間外交を通じて相互理解を深め、解決への働きかけを進めていくことが重要です。堺市・高石市においても外国人の流入量が増加傾向にあり、これを好機と捉え、私たちは地域における民間外交を牽引していく組織として、世界のメンバー、地域在住の外国人と活発に国際交流を行うことで、友情を育みながら有益な情報交換や、互いの文化と国民性の違いを理解する機会を提供します。そして、相互理解の輪を広く推進することにより、人と人とのつながりを再認識し、相手を尊重する多様な価値観を醸成し、広い視野をもつ国際感覚豊かな人材を育成することにつながります。そのような人材が一人でも多くこのまちで育まれることは、明るい豊かな社会の実現への第一歩となり、恒久的な世界平和の実現へとつながっていきます。

 

組織力の強化

私たちは、設立から今も変わらぬ目的である明るい豊かな社会の創造を実現させるために、創始の精神を今日まで引き継ぎ、地域におけるリーダーを育成し、輩出し続けてきました。今後も地域を活性化し、諸先輩方からの思いを未来へ繋いでいくためには、メンバー全員の力を結集し、一人でも多くの同士を組織に迎えいれなければなりません。

また、会員拡大は入会に導くことがゴールではなく、会員の定着に向けた取り組みを行う必要があります。取り組む際の心構えとして、偉大な先人が遺した言葉があります。一期一会、堺が生んだ茶人である千利休が、茶の湯の精神を世に伝えるために遺された言葉で、例えよく会う仲でも、もしかしたら二度と会えないかもしれない覚悟でお互い誠意をもって尽くすという心構えを示しています。現代では、電話やSNSといった便利なコミュニケーションツールがありますが、今こそ簡便なツールに頼りすぎることなく誠意をもって人と相対する機会を大切にして絆を深め、人と人との結びつきをより強固なものとし、組織内の絆を一層盤石にして次年度へ引き継いでいく必要があります。さらに、メンバーの成長に向けて、日本JCの研修プログラムを活用するとともに、多くの成長の機会の場をメンバーに提供することが、堺高石青年会議所が力強い組織となり、明るい豊かな社会の実現に近づく一歩になると考えます。

 

堺高石JCブランドの確立

現在では多くの青年団体や奉仕団体が存在し、JCしかない時代からJCもある時代になったと言われています。私は、JCの歴史や理念、ネットワークは世界に誇れるものだと自負しております。私たちは時代を先駆ける組織として、今まで以上に組織力の強化を図り、地域にむけて力強い発信をしていく必要があります。まずは、運動を発信する組織としてのビジョン、方向性をしっかりと共有するために、定期的に開催される諸会議を円滑に設営、運営していくことで、メンバー一人ひとりが自分たちの方向性を理解でき、活性化された組織につながります。そして、私たちの運動や活動に対して市民からの賛同を得ていくために、様々な情報発信ツールを活用して、戦略的な広報活動をすることで、市民への認知度を向上させます。さらに、定着したイメージを一過性のものにしないために、長期的なブランディング計画を実施して、地域における存在意義を高めます。私たちは、市民の意識と認識を高めて、地域の人々に必要とされる組織となり、より一層地域への影響力を高めてJCブランドを確立します。

 

結びに

青年会議所の運動は市民の意識の変革を核においています。私たちは、変化を楽しむ者として、自らが積極的に運動に参加し、高い志をもち、行動を起こすことで、市民の意識を変革していきます。これからも地域社会を変革し続けてきた諸先輩方の想いを引き継ぎ、失敗を恐れず、信じた道を突き進んで、多種多様な価値観が協和する活気溢れる堺市・高石市を実現します。